Tu fotografía


Me levanto en tu fotografía    ぼくは君のうつっている写真の中で目を覚ます
Me levanto y siempre ahí estás tú    ぼくが目を覚ますと いつもそこに君がいる
En el mismo sitio y cada día    同じ場所で毎日
La misma mirada el mismo rayo de luz.  同じまなざし おなじ光を浴びて


El color ya no es el mismo de antes   君の色はもはや昔と同じじゃない
Tu sonrisa casi se borró    君のほほえみはもうほとんど消えてしまった
Y aunque no estés claro yo te invento   もし君がいないとしても もちろんぼくは君の姿を作り出す
en mis pensamientos y en mi corazón.  ぼくの思いの中に ぼくの心の中に


Nadie tiene un pacto con el tiempo   ときの流れと 忘却と
Ni con el olvido ni el dolor, o no   痛みと 協定を結ぶことはできないんだ
Si desapareces yo te encuentro    もしも君がいなくなっても ぼくは君をみつける
En la misma esquina de mi habitación   ぼくの部屋のいつもの片隅に


Cada día que pasa, te pienso y te vuelvo a mirar  過ぎてゆく日々ごとに 君を思い また君のことをみて
Cada cosa en su sitio, el pasado, presente    君の場所にあるひとつひとつのこと 過去 そして現在
En el polvo mis dedos se juntan   埃のなかで指をつまんでみると
Y quieren tenerte, cambiando conmigo   君をこの指でつかむことができたらと思う ぼくとともにかわりながら
No he movido tu foto    ぼくは君の写真を動かさない
Ni el tiempo en los años   君と過ごした年月の時間もそのままに
Si me hablas de lejos   もしも君が遠くからぼくに話しかけてくれるのなら
Procura avisarme temprano     早くそれをぼくに伝えてくれ   
Y así controlarme    そうしてぼくの気持ちを静めてくれ


Me levanto en tu fotografía   ぼくは君の写真の中で目を覚まし
Cada día invento una actitud   毎日ある行動を作り出す
Y aunque no se note el blanco y negro   そして白と黒が感じ取れなくても
No me desespero   ぼくは絶望しない
Uso mi imaginación.   自分のイマジネーションをふくらませるのだ


Nadie tiene un pacto con el tiempo   ときの流れと 忘却と
Ni con el olvido ni el dolor, o no   痛みと 協定を結ぶことは誰にもできない
Si desapareces yo te encuentro    もしも君がいなくなっても ぼくは君をみつける
En la misma esquina de mi habitación   ぼくの部屋のいつもの片隅に


Cada día que pasa, te pienso y te vuelvo a mirar  過ぎてゆく日々ごとに 君を思い ふたたび君のことをみて
Cada cosa en su sitio, el pasado, presente    君の場所にあるひとつひとつのこと 過去 そして現在
En el polvo mis dedos se juntan   埃のなかで指をつまんでみると
Y quieren tenerte, cambiando conmigo   君をこの指でつかむことができたらと思う ぼくとともにかわりながら
No he movido tu foto   僕は君の写真を動かしていない
Ni el tiempo en los años   君と過ごした年月の時間も
Si me hablas de lejos   もしも遠くから君がぼくに話しかけてくれるのなら
Procura avisarme temprano   早くそれをぼくに伝えてくれ 
Y así imaginarme…    こうしてぼくを想像してくれ
Que te tengo aquí    君がここにいたなら

Hoy / Poco a poco / Valicha


 1989年にジャンマルコがデビューをしたころ、ペルーの社会は2年連続でマイナス10%成長、年率7500%のインフレ、社会不安を背景とした凄惨なテロの拡大など混乱の極みにあり、多くの人が国を後にしました。彼はことばで社会問題を歌うタイプの歌手ではありませんが、その音楽には、確かにうちのめされた人びとを癒し、勇気づける響きがあったのです。デビュー15周年を記念した公演を収録したこのビデオ、ヒット曲“Hoy”*1がやがてサヤ(アレキパを中心としたペルー南部の伝統舞踊・音楽)になだれ込み、聴衆の熱狂のなか、最後は感極まって本人が泣き出してしまいます。YouTubeのコメント欄にも海外に移民したペルー人の熱い思いがたくさん書き込まれています*2。 

Poco, poco a poco me has querido,   少しずつ、少しずつ、君はぼくのことが好きになってきた
Poco a poco me has amado,        少しずつ、少しずつ、君はぼくのことを愛するようになってきた
Al final todo has cambiado     最後には、君はすっかりかわる
Morenita de mi amor.       ぼくの愛しいモレニータ


Nunca digas que no Chorita    ノーといわないで、チョリータ
Nunca digas que no         ノーといわないで
Son cosas del amor Chorita     ぼくは愛の話をしているんだよ、チョリータ
Cosas del corazón         心のことなんだ


Canción y saya para cantar    サヤを歌おう
Canción y saya para bailar    サヤを踊ろう

Valicha lisay pashñauay,    チョロなバリーチャ
niña ninachay de veras maypiras tinkunki   ぼくの心の女よ いま君はどこを歩いているのだろうか


Qosqo uraycunapi ninachay de veras  クスコ???
maqtata suashkan      ???
Hermosa flor de la sierra    シエラに咲く美しい花よ
jilguero andino, flor de la pradera   アンデスヒワよ 草原に咲く花よ


Por valles, montes, quebradas  谷で 山で 渓流で
cholita cusqueña, qué estarás haciendo   クスコのかわいいチョロよ おまえは何をしているんだい

*1:pa'que este amor cresca más(この愛がもっと大きくなるように)”を“pa'que Perú cresca más(ペルーがもっと大きくなるように)”と変えて歌っています。

*2:“Me fui de mi lindo Peru a los 12 anitos y he vuelto despues de 13 anos En el avion de ida, tenia esta melodia en mi mente, y cada frase de esta cancion podia describir la emocion que senti al estar en ese avion en camino a casa. (ぼくは12歳の時に愛しいペルーを後にして、13年後に初めて帰った。飛行機の中でこのメロディーがずっとぼくの心の中でなっていた。この歌の一節一節が自分の故郷に帰る飛行機の中にいるぼくの気持ちを描いていたんだよ)” YouTubeでもっとも評価の高いコメント。

Hoy

Tengo marcado en el pecho    毎日この胸に刻まれること
todos los días que el tiempo   時の流れは
no me dejó estar aquí      ぼくがここにとどまること許さなかった
Tengo una fe que madura      ぼくのなかで育まれてきたある思い
que va conmigo y me cura     君を知ったあの時から
desde que te conocí       常にぼくとともにあり ぼくをいやしてくれたあの思い


Tengo una huella perdida   君の影とぼくの影の間で
entre tu sombra y la mia    失われた足跡は
que no me deja mentir      ぼくに嘘をつくことを許さない
Soy una moneda en la fuente   ぼくは泉に投げ込まれたコイン
Tú mi deseo pendiente       君は揺れたままのぼくの思い
mis ganas de revivir       ぼくがもう一度生き返るための希望


Tengo una mañana constante   いつもとかわらない朝を迎えると
y un aquarela esperando     ぼくの手元には水彩絵具がある 
verte pintado de azul      その絵の具で青く塗られた君を見るのを待ちながら
Tengo tu amor y tu suerte     ぼくにあるのは君の愛と君の運命
y un caminito empinado      そして険しくそりたった小さな一本の道
Tengo el mar del otro lado     ぼくには海がある それは別の場所にある海
Tú eres mi norte y mi sur      君はぼくの北であり南


Hoy voy a verte de nuevo     今日ぼくは新たに君をみつけるだろう
Voy a envolverme en tu ropa     ぼくは君の洋服に身を包む
Susurrame en tu silencio      ぼくが着いたのがわかったら
cuando me veas llegar       静かにぼくの耳元でささやいてくれ


Hoy voy a verte de nuevo     今日はぼくはまた新たな君をみつけるだろう
Voy alegrar tu tristeza      ぼくが君の悲しみをぬぐいさろう
Vamos a hacer una fiesta       フィエスタをしよう
pa'que este amor cresca más     この愛をもっと大きくするために


Tengo una frase colgada       ぼくの口と枕の間で
entre mi boca y mi almohada     凍った詩句
que me desnuda ante tí       君の前でぼくのすべてを暴いてしまう
Tengo una plaza           君がぼくのそばにいない夜に
y un pueblo que me acompañan      ぼくに寄り添ってくれる
de noche cuando no estas junto a mí   広場と町

 これまでもこのブログで3回ほど紹介している*1ペルーを代表する歌手ジャン・マルコがついについについに来日公演を果たします。ラテンというとタンゴかトロピカル系かクラブ系DJの人の紹介する音楽の日本では知名度いまいちかもですが、2005年、2011年にラテン・グラミー・最優秀シンガー・ソングライター部門に輝いたラテンアメリカ音楽界のスター中のスターです。
http://ticket.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1201647&rlsCd=001
 コンサートは伊勢崎・小山・西尾・浜松・川崎、守山と完璧ペルー人むけです。ぼくは川崎公演(深夜0時30分からです)に首から「法律相談はご遠慮ください」と書いた札をぶらさげていきます。ちなみに昔はペルー人コミュニティ向けにサンボ・カベーロやエバ・アイジョンなどなどけっこうな人気者が来日公演をしていたのです。観光ビザで来て空港で追い返されたメルコチータなんてのもあったけど。日本人も外国人コミュニティに対してほんの少しでも生きる場所を認めていれば、せめて他の国の数分の1程度でも育んでいれば、世界のさまざまな国からジャン・マルコ級のすばらしい音楽家をいくらでも見ることができたのに。少子高齢化で国が破綻するだのと騒ぐくせに外国人を差別せずにはいられないこの国のクズ人口の多さはつくづく残念ですね。


 ということで、この希代の歌手の歌を、少しずつ紹介していくことにしましょう。スペイン語は知らないよ、というみなさん、ローマ字読みでだいじょうぶです*2。 今日取り上げた曲は「今日」。ライブではサヤの“Poco a Poco”、ワイノの“Adiós Pueblo Ayacucho”とメドレーで演奏することが多いようです。

 ジャン・マルコは作曲家としてもモテモテで、アレハンドロ・サンズ、マーク・アンソニールイス・エンリケなどにも曲を提供しています。“Hoy(今日)”も彼の演奏よりはグロリア・エステファンの歌のほうが有名かも知れません。ぼくにはジャン・マルコのほうがしっくりきますけどね。

Desde Adentro

Desde Adentro

Lluvia en el agua

Los pies en la arena   砂浜に立つ足
camino de piedra     石の道
tras una sonrisa     微笑みの後ろには
va ocultando su pena   その苦しみが隠れていく


Lágrimas y amores   涙と愛
historias de viento    風の物語
toque de tambores     太鼓の音
sonidos y misterios    音と神秘


Fuego que ilumina      火をつけて
aquellas noches oscuras,   あの暗やみをてらして
Enciende la luz        明りをつけて
pa’contemplar su ternura.   その優しさをずっと眺めていたいから


Lluvia en el agua       水の中の雨
que entonas un canto,     あなたが歌を歌って
Aire que te llevas      あなたが運んできた空気
todos mis quebrantos.     私の心の傷よ


Y no es agua ni es arena      海辺は
la orilla del mar.        水ではない 砂浜でもない
Entre llantos y alegrías     叫び声と喜びの声のなか
la vida se va.             人生は進んでいく


Manos que liberan     鎖を壊して 
rompiendo cadenas      自由にする手
si cantas y vuelas     もしあなたが歌えれば 空を飛べる
se olvidan las penas     苦しみも消え去って


La voz del ancestro    先祖の声が
prepara los versos      詩を作る
al son de los cueros     太鼓の音で
empieza el concierto     コンサートが始まる


Lluvia en el agua        水の中の雨
que entonas un canto,      あなたが歌を歌う
tiempo que detienes       あなたが止めた時間
el color de su llanto.      あの叫びの色

 サンバシリオ*1での音楽経験にインスピレーションを得たマリア・ムラータひさしぶりの新曲です。昨年、私は彼女にインタビューをしましたが、そのときも、サンバシリオで撮影した写真を「みてみて、この子ったら2歳でまだ話すことも歩くこともできないのに、タンボールは叩くのよ!」とはしゃぎながらみせてくれました。わかったようなわからないような歌詞ですが、雰囲気を味わっていただくために直訳をしています。ご本人からいただいたヒントは“ que es más libre el ave, que además de volar, canta.” なお、ビデオは彼女自身がアップしたものですが、サムネイルは韓国公演の様子、最後は日本公演のときの写真です。

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「伝統音楽は、ラジオなどの既成メディアにはなかなか取りあげてもらえません。でも、今はインターネットを活用することによって、既成メディアにパランカ(コネ)がなくても、伝統音楽を一般聴衆に向けて発信することができます。興味深いことに、伝統音楽に関心を持つ若者は、コロンビア国内では増えているのです。私たちの役割は、豊かな文化的伝統を持ちながら、社会的な要因でその保持に困難を抱えているコミュニティ、たとえばパレンケの子どもたちらを支援しながら、伝統音楽のダイナミズムやエネルギーを救い出すこと。そしてボセーロ(スポークスマン)としてそれを外部にアピールしていくことです。」(月刊ラティーナ2011年9月5号より)

 新しいアルバムもそろそろ発売です。2006年の“Itinerario de Tambores”も2008年の“Los vestidos de Cumbia”も、一曲一曲ほんとうにていねいに作られています。ぜひ聴いてみてください。

Itinerario De Tambores

Itinerario De Tambores

Los Vestidos De la Cumbia

Los Vestidos De la Cumbia

Al Pasito Cañandonga〜カニャンドンガのステップで

 新大久保駅近くの雑居ビルの地下1階にあったあの店は、近くのホテル街で働く街娼のたまり場だった。カジェ(通り)で男をつかまえて、ラブホテルで仕事を終えた女たちが集まり、酒を飲み、故郷の音楽を聴き、踊り、体と心を温めてから、ふたたび冷たいカジェに出て行くまでのつかの間の憩いの場所。たまに酒をおごらせようとする女に連れられて来た日本人男性は、ドアを開けた瞬間に怪しげな店の雰囲気に圧倒され、ブリキの人形みたいに店の隅で硬く縮こまったまま女たちに嘲笑されていたが(態度があからさまなので、スペイン語はわからなくてもバカにされていることぐらいは伝わっていただろう)、90年代の初め頃、会社勤めをしながら司法試験の勉強をしていた私には、唯一といってよい安らぎの場所だった。今から20年ほど前、ここに集まる女たちから、男に殴られただの、貯金を持ち逃げされただの、友だちが警察に捕まっただのとアグアルディエンテを報酬に相談を受けていたのが、私の法律家デビューだったのだ。

Al pasito cañandonga bailaras    カニャンドンガのステップで踊りなよ
al pasito cañandonga gozaras    カニャンドンガのステップで楽しもうよ


Esta es una invitación       これはすべてのダンス好きへの
a todos los bailadores       招待状
esta es una invitación       すべてのダンス好きへの
a todos los bailadores       招待状さ
que le gusta el paso nuevo     君も大好き
de cañandonga            この新しいカニャンドンガのステップが

 ブーガ、トゥルア、カルタゴアルメニアペレイラ、マニサーレス・・・「コーヒー枢軸」と呼ばれるこれらの町は、1990年代のコーヒー相場の暴落以来、コロンビアでもっとも失業率が高い地域になった。北のメデジン、南のカリから巨大麻カルテルが発するまばゆいばかりの消費の光は、その影に沈んだような貧しい田舎の町に住む人々に、どれほどきらびやかに写ったことだろう。そんな町から、売られるように地球の裏側に流れてきて、すえた匂いのするホテル街で夜な夜な春をひさいでいた女たち。年齢だけみれば、あの頃の彼女らの中には、現在強制送還が問題になっている高校生の女の子らと変わらないのがゴロゴロいたのに、当時の私が「子どもの権利」なんてちっとも思い浮かばなかったのはなんでだろう。
 ひところは、東京近辺でラテンのコンサートがあるたびに派手なダンスが周囲の空気を別の国のそれにかえてしまうほど存在感のあった彼女らは、2001年頃から減りはじめ、やがて新しく来日する者はいなくなった。ある者はビザを取って水商売から引退し、ある者は入管に捕まって送還され、カニャンドンガも10年以上前に閉店した。今、彼女らの残り香は、東京のどこを探してもかぐことはできない。

ブエノス・ディアス、ニッポン―外国人が生きる「もうひとつのニッポン」

ブエノス・ディアス、ニッポン―外国人が生きる「もうひとつのニッポン」

Ojo al toro


 イバゲー生まれの作曲家カンタリシオ・ロハスの作になるバンブーコの名曲です。前にも紹介しましたが(http://d.hatena.ne.jp/Genichi_Yamaguchi/20110703/1309666816)、モダンな感じの演奏で、普段耳にするものとはずいぶん印象ちがいますね。ちなみにYou Tubeに「私はカンタリシオ・ロハスの孫なんです」と書き込んでいる人がいます。


 おまけ。お孫さんはサルサが好きらしく、バランキージャのサルサ好きの集まるクラブ“La Troja”のビデオがお気に入りとのこと。

 基本的に年寄りの集まる店ですが、それにしてもレイ・バレート楽団の“La Pelota”とはずいぶん古い曲で踊っていますね。さすがコロンビア人。