月刊ラティーナ9月号にマリア・ムラータの記事が掲載されていますよー

 「ブジェレンゲは彼女らの生活の中から生まれてくるのです。たとえば、料理をしながら『甘いグアナバナはどうしてそんなにおいしいの それはナスといっしょに 大鍋に放り込むため・・・』とか、掃除をしながら『箒で床を掃く・・・』といった具合に即興的に歌が生まれる。私といっしょにネコクリにいった太鼓奏者が連日太鼓を叩きすぎて手が腫れてしまったときも『あの気の毒な太鼓叩きの手に油を塗ってあげないと・・・』とみんなが歌い出す。それはとても印象的な場面でした。辛い生活の中で、音楽は彼女らの生活に喜びやカタルシスを与えているのです。」

 発売中の「月刊ラティーナ」9月号に、私の執筆したマリア・ムラータ*1のインタビュー記事が掲載されています。
 http://www.latina.co.jp/cart/?category=journal&page=magazine
 アンデス山岳民謡で輝かしい実績を積み、ボゴタの有名大学で音楽を専攻した彼女が、どうしてコスタの音楽、とりわけブジェレンゲに取り組むようになったのか、なぜネコクリのアフロ系コミュニティに行こうと考えたのか、そこで何を見て、何を感じたのか、どうやって文化の違いという壁を乗り超えたのか、コロンビアの伝統音楽の担い手としてこれからどういう道を進もうとしているのか。そのあたりを、具体的なエピソードを交えて答えてもらいました。もろ「地元の古老」みたいな人から聞くよりも、彼女のようなインテリさんのほうが、インタビューとしてはわかりやすいと思います。

 インタビューでは、センタオとファンダンゴとチャルーパのリズムの違いを実演してもらったり*2、ブジェレンゲの歌詞の分からない部分について教えてもらったり、コスタの音楽ジャンルの特徴について考えていた疑問をぶつけてみたり、彼女の撮影したサンバシリオで撮影したビデオをみせてもらったり、道が舗装されてカルタヘナに行きやすくなってサンバシリオに生じた変化について話したり、記事にならないわりかしどうでもいい話までつきあっていただいて、日本では孤立感というか疎外感を覚えることが多いコロヲタとしては、実に楽しかったです。日本では人気者じゃないので時間もたっぷりあったし(滞在中に彼女を取材したのは私たちだけ)、それに美人さんでしたしね。とはいうものの、記事ではそうしたヲタ色は可能な限り排除し(たつもりで)、インタビュー内容の理解に役立つように、音楽ジャンルについての注釈もつけました(もっとも、字数制限があるので、ここ→http://bit.ly/iTV0Xtから数回に分けて書いたエントリーの方が詳しいです。)。よろしければご笑覧を。


 インタビューで質問した「ア・ドンデ・バン(どこにいくの)?」の歌詞はこちらです。→http://d.hatena.ne.jp/Genichi_Yamaguchi/20110625/1309029867
 マリア・ムラータはこれまで2枚のCDを発表しています。どちらもとてもいいですよ。

Itinerario De Tambores

Itinerario De Tambores

Los Vestidos De la Cumbia

Los Vestidos De la Cumbia

*1:ところで、インタビュー後にご本人からメールで指摘されたところによると、マリア・ムラータというのはディアナ・エルナンデスさんの芸名であって楽団名ではないとのことです。これまで私がみた記事のほぼ全ては、“マリア・ムラータ”を楽団名、その歌手/ディレクトーラのディアナ・エルナンデスとしていたので、http://bit.ly/q6sKX8 http://bit.ly/pB3G2j けっこうびっくりしましたし、締め切り過ぎてからだったので慌てました。

*2:演奏する側は、4分の2拍子と8分の6拍子は連続したひとつのリズムとして捉えているのかな、という印象を持ちました。