Sielva María

De Puerto Antioquia pa arriba hasta Yarumal   プエルト・アンティオキアからユラマルへいこうと
cuando salió este negrito en correduría   このネグリートが街道に出たところで
Apenas que recordaba a Sielva María    すぐにシエルバ・マリアを思い出したのさ
me daban aquellas ganas de regresar   とたんにおれは戻りたい気持ちになった
Apenas que recordaba a Sielva María    急にシエルバ・マリアのことを思い出したのさ
me daban aquellas ganas de regresar   とたんにおれは戻りたい気持ちになった


Pasaban unos pa abajo y otros subían  上へ下へといくつかの町を通り過ぎて 
Y yo me acerqué y le dije: hágame el favor   俺はある男に近づいてたずねた「すみません
Usted no se ha dado cuenta si a Montería    あなたはコンベンシオンからきたある若い女
habrá llegado una joven de Convención ay!    モンテリーアに着いたか知りませんか」
Usted no se ha dado cuenta si a Montería    あなたはコンベンシオンから
habrá llegado una joven de Convención ay!    ある若い女がモンテリーアに着いたか知りませんか」


El tipo me contestó que no conocía   その男はおれに言った その女は知らないけど
pero que le diera el nombre y la filiación:   名前と素性を教えてくれないかって
Fileña, de pelo largo, muy coposón   ほっそりしていて鼻が高くて髪が長くて とっても???で
y el nombre de la morena es Sielva María apa!   そのモレーナの名前はシエルバ・マリア


La joven tiene las cejas casi encontradas    彼女はくっつきそうなぐらいにきりっと向かい合った眉毛をしていて
Tiene una mirada alegre y dientes brillantes   楽しそうな瞳に輝くような歯
Tiene la cara fileña y nariz delgada   ほっそりした顔つきでとがった鼻
Tiene la boca chiquita y muy elegante apa!    小さな口のとっても美しい人なんだ


Y cuando llegué a Vaidivia yo me embarqué    バイデビアについて船に乗ったけど
pensando muy tristecito en la vida mía   なんだかとっても人生が悲しくなって
y cuando ya habia arrancado yo me baje     船はもう出発していたのにおれは降りたんだ
preguntando si no habian visto a Sielva Maria     シエルバ・マリアのことをみませんでしたかってたずねながら

“correduría”は「仲介業・斡旋業/仲介手数料」という意味ですが、意味が通じないので、勝手に“corredor”(廊下/回廊)っぽく訳してみましたが、なんの根拠もないので、まちがいかも知れません。“Convención(コンベンシオン)”はノルテ・デ・サンタンデール県の市の名前だと思います。“fileña”は“afilada”、(追記:ネイティブの人から「鼻が高い」という意味だと教えてもらいました)“coposón”は意味が分かりません。“Puerto Antioquia(プエルト・アンティオキア)”という市はわかりませんが(古い歌なので行政区分が変わっているのかも)、ユラマル市、バイビデア市(ビデオにも少し出てきますがここから乗ったのはカウカ川の川船です。)とあるのでアンティオキア県を旅する歌ですね。古いバジェナートでは登場する地名のほとんどはラ・グアヒーラ、セサル、マグダレナの3県とせいぜいその周辺ですから、これはめずらしい。
 ある女性がモンテリーア(コルドバ県)に着いたかとアンティオキアで聞きまわる不可解な(モンテリーアはシヌー川沿いの町ですが、カウカ川とはつながっていませんし・・・)、というか聞きようによっては間抜けな男の歌に聞えますが、ガブリエル・ガルシア・マルケスの作品「愛その他の悪霊について」のヒロインの名前は、この歌に出てくる女性“シエルバ・マリア”にちなんでいます。

愛その他の悪霊について

愛その他の悪霊について

 スペイン語読める人はこの本の前書きだけでもぜひスペイン語で。絶品ですよ。