El cantor de Fonseca

Alguien me dijo de donde es usted   あるやつがおれにいうんだよ どっからきたんだいって
Que canta tan bonito esta parranda   おまえさん、素敵なパランダ歌うじゃないか
Si es tan amable tóquela otra vez   もしもよければもう一回演ってくれないか
Quiero escuchar de nuevo su guitarra   もう一回あんたのギターが聞きたいんだ
óigame compa usted no es del valle   よう、兄弟、あんたはバジェドゥパルじゃないしマグダレナの出身じゃなさそうだね
del Magdalena ni de Bolívar   ボリバルでもないみたいだ
pues se me antoja que sus cantares   気になるじゃないか おまえさんの歌は
son de una tierra desconocida   どっか知らない土地の歌みたいだね
y Yo le dije si a usted le inspira   だからおれは言ってやったのさ
saber la tierra de donde soy    あんたはおれがどこから来たのか知りたいんだね
con mucho gusto y a mucho honor   はじめまして よろしくお願いしますよ
Yo soy del centro de la Guajira.   おれはラ・グアヒーラの真ん中から来たんだよ


Nací en Dibuya frente al mar Caribe    カリブの波に洗われるディブヤで生まれて
De donde muy pequeño me llevaron   小さいころにバランカに連れられて
Allá en Barranca me bautizaron    そこで洗礼を受けたのさ
Y en toda la Guajira me hice libre   ラ・グアヒーラじゅうをぶらぶらして
Yo ví tocar a Santader Martínez   サンタンデール・マルティネスや
A Bolañito, a Francisco el Hombre   ボラニート、フランシスコ・エル・オンブレ、
A Lole Brito, al señor Luis Pitre   ロレ・ブリトー、ルイス・ピトレさんの演奏を見たのさ
Los acordeones de más renombre    みんな有名なアコーディオン弾きさ
Soy de una tierra grata y honesta    そう、おれの地元はちょっとしたもんなんだよ
donde su historia lleva mi nombre    その歴史がおれの名前に刻まれているんだ
Yo soy aquel cantor de Fonseca   おれがあのフォンセカの歌手なのさ
La patria hermosa de Chema Gómez.   チェマ・ゴメスの故郷さ


Viví en un pueblo chiquito y bonito  小さいけどすてきな町に住んでいたのさ
Llamado Lagunita de la Sierra   ラグニータ・デ・シエラという町
Del que conservo recuerdos queridos    おれの愛しい思い出が今でも残る
Emporios de acordeonistas y poetas    アコーディオン弾きと詩人の集まる土地
Allí toqué con Julio Francisco    そこでフリオ・フランシスコや
Con Moche Brito y con Chiche Guerra  モーチェ・ブリト、チッチェ・ゲーラなんかと演っていたのさ
Y conocí bien a Bienvenido   ビエンベニードのこともよく知ってる
El que compuso a Berta Caldera  あの “ベルタ・カルデラ”って曲を作ったやつさ
Ya me despido soy Carlos Huertas   そろそろおいとまするよ おれはカルロス・ウエルタス
Doy mi apellido y nombre de pila    おれの洗礼名を教えてやろう
Yo soy aquel Cantor de Fonseca   おれはグアヒーラ生まれの
Y soy nativo de la Guajira.   あのフォンセカの歌手なのさ

 この曲の作者のカルロス・ウエルタス、歌に登場する(ホセ・マリア)チェマ・ゴメス、ビエンベニード(・マルティネス)、さらに歌手のルイス・エンリケ・マルティネスはみんな従兄弟同士。サンタンデール・マルティネスはルイス・エンリケ・マルティネスの父、ボラニートことフランシスコ“チコ”ボラーニョスははじめてプージャ、パセオ、ソン、メレンゲからなるバジェナートの4つの“aire(「空気」とでも訳すべきか)”を確立したとされる作曲家/歌手/アコーディオン奏者、“ロレ”ことホセ・ドローレス・ブリトもルイス・ピトレもそれぞれ著名な歌手/演奏家/作曲家。「百年の孤独」にも登場するフランシスコ・エル・オンブレはあまりにも伝説が過ぎてもはや実在した人物かはわからないが、エル・タブラッソ(現在のラ・グアヒーラ県リオアチャ市)出身のフランシスコ・マスコテという理解が一般。
 この歌にかかわるフォンセカ市を中心としたラ・グアヒーラ県出身のバジェナテーロは1850年代から1920年代生まれなので、既にみな鬼籍に入っているが(最後の生き残りだったビエンベニードは昨年マラカイボで90歳で亡くなった)、軽快なメロディーと茶目っ気のある歌詞は今でも歌い継がれている。
 ボゴタ出身の人気ポップス歌手・フォンセカの歌。