Quisiera / Quiro que te quedes / Champeta rosa

 コルドバ県出身のアドリアナ・ルシーア(Adriana Lucía)は、もともとバジェナートの歌手です。ボクは、彼女が14歳の頃にボゴタで、16歳の頃にバランキージャでみたことがあります。決して才能に恵まれた歌手ではないと思いますが、その音楽に対するまじめな姿勢に心をひかれ、ずっと気になる存在でした。たぶん、周囲もそのような評価だったのでしょう、バジェナートを歌っていた頃も、アロルド・リベーラ、ジョン・ロサーノと、毎回若手実力派のアコーディオン奏者を用意され、いい楽曲を提供してもらっていました。


 そんな彼女も、所属していたSonoluxの経営不振〜倒産が直接の理由と思いますが、しばらく(おそらく7〜8年)話題がとだえていました。その間も音楽修行は続けていたらしく、昨年、カルロス・ビベスのバックアップをうけて復活、コロンビアの平和を訴えるコンサート“Nuestra tierra sin violencia”に出演するなど、いやしの歌声をもつ27歳の民謡歌いとしてもどってきました。アルバムは、2008年にビベスの個人レーベル“Gaira Música Local”*1から発売されましたが、バジェナートを歌っていた頃よりずっといいです。

Quisiera ser la luna que te alumbre la mirada   あなたの瞳をてらす月になりたい
Quisiera ser un canto y despertar tu madrugada  夜明けにあなたを目ざめさせる歌になりたい
Quisiera que llenaras mi vida con tu sonrisa  私の人生をあなたのほほえみで満たしたい
Robarte la mirada y quererte pero sin prisa  あなたの瞳をうばい、そして愛したい、でも急がずに
Quisiera que tu vida me ilumine  あなたの生命に私をてらしてほしい
Convertirme en la canción que te imagine  あなたを心にいだく歌に私はなりたい


Te diera un mundo lleno de sonrisa, de canciones  あなたにほほえみと歌声にみちた世界をあげることができたら
Por donde caminaras llenarte el suelo de flores  あなたがどんな道をあゆもうと その道を花で飾ることができたなら
Quisiera ser la luz que te ilumine,  あなたをてらす光になりたい
Convertirme en tu canción  あなたの歌になりたい

Te diera un mundo lleno de sonrisa, de canciones  Por donde caminaras llenarte el suelo de flores  Regalarte un futuro que no sienta más temores (あなたにほほえみと歌声にみちた世界をあげることができたら  あなたがどんな道をあゆもうと、その道を花で飾ることができたなら  あなたに未来を、おそれることのない未来をあげることができたなら)” ・・・ボクには今、心の底から、おそれることのない未来をあげたいと思っている子どもたちがいます。ささやかな力添えを求めている彼らのためにがんばります。


*1:もとはコロンビア伝統音楽の才能を発掘することを目的としたビベスとSonoluxの共同プロジェクトだったが、Sonoluxが倒産してビベスがひきとった。ちなみに、あれだけ売れたカルロス・ビベスの初期の作品が手に入りにくいのはそのせいで、Fuentesとならび50年以上にわたってコロンビア音楽を紹介し続けたSonoluxの倒産で、多くの貴重な音源がいまも入手できないままになっています。